個人の診療所を医療法人化する際に、個人開設実績を求める都道府県も少なくありません。
しかし、ここで単純な疑問が生じます。
法律ではいったいどう規定されているのか
まずは医療法を見てみましょう。
<第39条>
病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。
<第41条>
医療法人は、その業務を行うに必要な資産を有しなければならない。
2 前項の資産に関し必要な事項は、医療法人の開設する医療機関の規模等に応じ、厚生労働省令で定める。
そして、第41条第2項の「厚生労働省令」が以下のとおり。
医療法施行規則
(医療法人の資産)
<第30条の34>
医療法人は、その開設する病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院の業務を行うために必要な施設、設備又は資金を有しなければならない。
以上を検討してみると、
まず、医療法第39条では、『開設しようとする』と言っているわけで、既に開設している必要については言っていないのでは
そして、第41条第2項を受けた施行規則、ここで、上記の赤字”又は”に注目です
「又は」とは通常、A又はBというように、AかBのどちらかという意味のはず。
つまり、ここでは、「施設、設備」を持っているか「資金」を持っているか、どちらかで良いと言っているではないか
総合すると、個人開設実績を求める法的根拠は皆無のように感じるのは私だけでしょうか
実はこの解釈問題はとても大きな命題だと私は思っています。
こういうところをどのように行政が考えているのか、そして、こういう問題をきちんと議論しないというのは行政対応として妥当なのか極めて疑問です