医療法人の届出書類にはいくつか種類がありますが、そのうちのひとつ「事業報告等提出書(旧:決算書)」には20万円以下の過料とはいえ、一応罰則規定があります。
この罰則規定が適用されるケースは少ないとはいえ、事業報告等提出書を届出しない場合には、医療法人の運営・存在が不透明、ないしは疑義あり、と推定され、場合によっては、法令に基づき認可の取り消し!なんてこともあり得るわけです。
この届出に関しては、ひとつ注意をしなければならないことがあります。
医療法人の理事長様をはじめ役員の方には、是非とも確認していただきたいこと、それは、届出などの手続きを顧問先などに任せているケース。
本来、届出義務者は医療法人です、当然ながら。
ところが、理事長様は本業の医業に忙しく、事務処理には興味が向かないため、つい人任せになってしまいがちです。そのため、顧問先に届出など行政手続きを任せるわけですが、万一、書類に不備があり補正などの必要がある場合には、その補正が完了しないと届出がなされたことにはなりません。
つまり、提出しないことと同じ、という意味です。これは実務上そのように扱われている、という意味で行政手続法上の話を持ち出して議論するような概念上のことではありません。
残念なことは、必ずしもすべての顧問先が医療法・医療法人の運営を熟知しているわけではなく、この補正対応が充分にできない可能性があること。
実際、私のところに税理士さんからSOSが入ることがありますし、そもそも行政から何を問われているのかさえ理解していないケースもあります。
そして、これも当然ですが、医療法人としては、顧問先に依頼しているから『知らなかった』とは弁解できません。
医療法人という特別な法人は、昨今の悪いニュースなどで耳にすることがあることからも分かるとおり、使い方によっては良くない方向に舵を切っていることがよくあります。
(もっと言えば、はじめから悪行のために医療法人を手段として使うようなことがあります・・・)
こういう問題のすべては、元はと言えば、届出などの手続きを放置するなどの小さな綻びからはじまることがよくあります。
それは、人間で言うと、暴飲暴食するなど不摂生が続くと体調を壊すようなもの。
これは身体のみではなく、精神的な綻びの場合も含みます。
やるべきことを当たり前にするだけの単純なことではあるのですが、これがなかなか定着していない現実も少なくないようです。
セカンドオピニオンとしてのご相談もお気軽に。
今まで提出されている書類をいくつか見せていただければ、どの程度の書類作成レベルの顧問先かが分かります。
こういった客観的な判断ができるのも当事務所の最大の特徴です。